初心者の富士登山挑戦記 準備編
全体のまとめ
日程 | 2019年9月6日~9月7日 |
行動時間 | 12時間55分 |
歩行距離 | 17.4km |
標高(登山口~山頂) | 2,305m~3,776m |
メンバー | 単独 |
はじめに
動機は何でもいいんですが、私の場合はヤマノススメを見て、山に登ってみたくなりました。 で、どうせならヤマノススメの作中でも登られており、日本最高峰である富士山に登る ことを当面の目標にしてみようと思ったわけです。
とは言っても、私が最後に山に登ったのは中学生の頃。それも普通のスニーカーで行ける ような、学校行事で登ったところのみです。 まずはどんな準備が必要なのかすら分からないので、Webで色々調べながら少しずつ計画 を進めていきました。
このページでは、私が計画の際に調べたことや、実際に登る前にしたことなどをまとめて います。
計画
とりあえず富士山がどんなところか知る
既に知っていることも多いかと思いますが、ざっくりまとめます。
- 標高3,776mで、山頂では気圧が650hpaくらい(平地の2/3程度)しかありません。
- 山頂まで登れるのは7/10~9/10の2か月間だけ(2019年現在)。それ以外の時期は積雪の 可能性があるため基本立ち入り禁止で、山小屋も営業していません。
- 7~8月の真夏でも、最低気温2~3℃、最高気温10℃程度。東京や大阪の冬と同じくらい です。
- ルートによりますが、登山道沿いに山小屋(売店付き)がたくさんあります。
- トイレはありますが、有料で1回200~300円必要です。
- 毎年多くの人が登っており、登山道や山小屋が混雑しています。
- 山小屋を利用して一泊二日で登り、山頂でご来光(日の出)を見る人が多いです。
- ふもとから山頂の間に一合目、二合目、三合目、…九合目と区切りがあり、普通は 五合目の登山口から登ります。
この辺りの情報を前提に、計画を立てていきます。
道具を揃える
まずは道具を買い揃えていかなければなりません。 最終的に富士山に登る際に持って行ったものは以下の通りです。 それぞれについて簡単な解説を入れてあります。
これだけのものを一度にそろえるのはなかなか大変なので、練習でいくつか他の山を 登りながら少しずつ整えていきました。
- ザック
-
腰のところと胸のところにベルトが付いていて前で留められる、登山用のもの。 山小屋1泊の場合、だいたい30リットルくらいのものが良いようです。
私は35リットルくらいのを買いました。これでほぼいっぱいになったので、ちょうど 良かったのではないかと思います。
- シューズ
- ミドルカット(くるぶしくらいまでの高さ)、またはハイカット(足首全体を覆うもの) の登山靴。 ローカット(普通の運動靴くらいの高さ)のものは、下山時に靴の中に細かい石が 入りやすいので、やや不向きです。 靴はなるべく早めに買って履き慣らしておくことをお勧めします。
- レインウェア
- ゴアテックス等の防水透湿素材で出来ており、上着とズボンに分かれているもの。 山では割と天気予報に関わらず雨に降られることがありますが、その際に雨具が ないと低体温症になって最悪死にます。 また、ウィンドブレーカーとしても利用できるので晴れても無駄にはならないです。
- Tシャツ
- 安いのでいいので、ポリエステルなどの化学繊維でできたものを買うことを推奨。 綿100%のシャツは汗を吸うと乾きにくく、いつまでも冷たいです。比べてみて 分かりましたが、化学繊維のものにすると快適性が全然違います。
- 長袖服
- ボタン、襟付の長袖シャツ。本格的に登山を始めるのでなければ普段着でいいです。 富士山に行くのは夏ですが、ケガや日焼けを防止するためにも服は長袖です。
- フリース
- 防寒用です。寒い時長袖服の上に着ます。セーター等でも代用可だと思いますが、 かさばるものはザックに詰めるのが大変です。
- ズボン
- 長ズボンで、ある程度伸縮性のあるもの。 汗をかいた状態で膝の曲げ伸ばしが不自由でなければいけます。
- 靴下
- やや厚手の方がクッションが効いて良いです。
- 帽子
- 頭部の保護と日よけです。 風が強い時は飛ばされないよう注意が必要です。あごひもがない場合は、帽子クリップ とか買っておくと良いかも。
- スマートフォン(登山用アプリ)
-
緊急時の連絡等にも使いますが、登山用アプリを入れておくとすごく便利です。 GPSで登山用地図上に現在地を表示してくれるので、ルートの確認がすごく簡単に できます。
登山用アプリは何でも良いですが、私はヤマノススメとコラボしていた「YAMAP」を 使っています。
- 地図、コンパス
- 富士山は迷うところが少ないですが、山へ行く時の基本装備です。 私は三つ峠山に行く時に買った山と高原地図No.32「富士山 御坂・愛鷹山」を持って 行きましたが、ネット上で地図を探してプリントするとかでも良いです。
- ヘッドランプ
- 夜間の登山では必須。 防水でないものは雨が降ると役に立たず、手で持つものは邪魔になります。 朝から夕方までのつもりでも、万一予定より遅れたら必要になるため、持って行った 方が良いです。
- 飲み物
-
2~3Lくらいは必要と言われています。また、キズを洗ったりするのに使えるよう 1本は水にした方が良いとも。 私は500mlのペットボトルを4本(2L)持って行き、宿で500mlのを1本もらい ました。合計2.5Lです。これらを帰りの高速バスを降りるまでにちょうど飲み切って います。
富士山の場合、ルートにもよりますが登山道沿いにたくさんの山小屋があります。 そこで割高ではありますが購入することも可能です。山頂で500mlのものが500円 程度だと思います。体力に自信がなければ札束で殴りましょう。
- 食料
-
山小屋に一泊する前提だと、だいたい以下のようになります。
- 1日目昼 五合目で出発前に食べる
- 1日目夕 山小屋で食べる
- 2日目朝 山小屋でもらう
- 2日目昼 下山後五合目等で食べる
そうすると、持っていくのはおやつや行動食の類のみ。 私はようかん2個、おにぎり1個、ウィダーインゼリー1個、クッキー1箱(14枚)を 持って行き、全て食べきりました。
スケジュールの都合で食事の予定が上記のようにならない場合は適宜調整が必要 です。
こちらも、途中の山小屋で購入することも可能です。
- 小銭
- 有料のトイレで100円玉がたくさん必要。 私は1500円分持っていきましたが、1400円分使いました。
- 財布
- 不要なものは出して軽くしていった方が良いです。 マイカーで行く場合は免許証、電車やバスで事前に購入した切符等がある場合は それらも忘れずに。 私は今回電車を利用したので、ICカードと特急券を持って行きました。
- ビニール袋
-
山では、自分のゴミは全て持ち帰らなければなりません。 よってゴミ袋は必須です。
あと、着替えやタオル等、濡れると困るものはジッパー付きの袋に入れていくと良い です。山で雨に降られると、ザックカバーを付けていてもザックの中まで水が浸入 するらしいので。
- 手袋
-
岩をつかんで登るところもあるので、あった方が良いです。晴れていれば軍手で 十分です。
雨の日はちょっと寒いかもですね。最悪スキー用の手袋を持っていくことも 考えていました。
- 日焼け止め
- 高山は晴れるとめっちゃ日焼けします。 普段日焼け止めなんて使わない私も持っていきました。 が、耳に塗り忘れて後日耳の皮だけむけました。
- 耳栓
- 山小屋で快適に眠るためのアイテム。 山小屋では基本的に大部屋に詰め込まれて眠ることになりますので、あった方が 良いです。 すぐ隣でいびきをかかれると無力ですが。
- マスク
- 下山時に晴れていると、登山道の細かい砂が舞い上がってかなり埃っぽい です。 多少日よけにもなるのであっても良いかと。
- タオル
- 汗を拭いたり濡れたものを拭いたり、首にかけて日よけにしたり。 山小屋には洗濯された枕カバーなんてないので、枕にタオルを巻くのも良いです。
- 保険証
- ケガや急病時に必要。念のため。
- ザックカバー
- ザックをすっぽり覆うカバー。雨の時にザックの中身が濡れないようかぶせます。 雨が降らなければ使いませんが、畳んで袋にしまうとすごく小さいのでザックの奥 に押し込んでおくといいです。
- ティッシュorトイレットぺーパー
- 普通に鼻をかんだりするのにも使いますが、トイレに紙がなかった時にも必要。 富士山ではあまり紙がないってことはないと思いますが。
- ウェットティッシュ
- 山の上では水が貴重なので、手を拭いたりするのに使います。
- ハンカチ
- トイレの後くらい。水がない場所なので、意外と出番少ないかも。
- スポーツタオル
- 用途はタオルとほぼ同じ。 下山後温泉に行くなら使いますが、そうでないならあまり出番ないかも。
- 常備薬、ファーストエイドキット
- 念のため頭痛薬と絆創膏。
- 着替え
- Tシャツ、靴下、ジャージを持っていきました。 あまり持って行きすぎても荷物が重くなるので、絞り込みが大切。
- その他
-
私が持って行かなかったもので、あちこちのサイトで持ち物候補に挙げられて いたもの。荷物の量との兼ね合いになりますので、取捨選択は慎重に。
- 予備の靴ひも
→できればあった方がいい。切れたりしたら歩けなくなるので。 - 予備の電池(ヘッドランプ用)
→できればあった方がいい。万一電池が切れたら夜間は真っ暗闇で行動できません。 - ヘルメット
→できればあった方がいい。富士山の6合目でレンタル可能。 - 予備バッテリー
→あれば便利。スマートフォンの電池が持たない場合は必要。 - サングラス
→あれば便利。強い日差しを防ぐ。 - エマージェンシーシート
→あれば便利。ご来光待ちのとき防寒に使えます。 - サポーター、スポーツタイツ
→あれば便利。足の痛みを防ぐ効果が期待できます。 - 消毒液、傷薬、包帯、テーピング等
→あれば便利。軽いけがくらいは自分で応急処置できた方が良い。 - スパッツ(ゲイター)
→ルート次第。須走ルートや御殿場ルート下山時の砂走では必要。 靴の中に雨や砂が入るのを防ぐもの。レギンスとは違います。 - ストック(トレッキングポール)
→好みによる。 私は手がふさがるのが嫌なので持たないですが、特に下りは歩きやすいらしい。
- 予備の靴ひも
練習登山をしてみる
久しぶりの登山でいきなり富士山も無謀なので、ヤマノススメの聖地巡礼がてら いくつかの山を登りました。
- 天覧山~あけぼの子どもの森公園
-
ヤマノススメの聖地。埼玉県の飯能にあり、天覧山は標高197m。 あけぼの子どもの森公園への道はほぼ平坦です。
普段着で歩けるハイキングですが、1日で両方回ったのでそれなりの歩行距離 にはなりました。10㎞近く歩いたと思います。
- 高尾山
-
ここもヤマノススメの聖地。東京都八王子市にある標高599mの山です。 家族で行ったのでケーブルカーを使いました。
ケーブルカーを使えば、普段着で歩けるハイキングコースです。練習や靴の慣らし として行くなら、ふもとから歩いて登ることをお勧めします。
- 金剛山
-
大阪・奈良県境にある標高1,125mの山です。 ここはヤマノススメと関係ありません。
高尾山に登る際にケーブルカーを使ってしまい、あまり運動にならなかったので、 靴とザックの慣らしのために登りました。 とは言っても、休憩込みで往復3時間程度。小学生が遠足で登るような所です。
- 三つ峠山
-
またヤマノススメの聖地。作中でも富士登山チャレンジの直前に登ったところです。 標高1,785mで、山梨県にあります。
三つ峠駅側から登れば、休憩込みで6時間以上。いい練習になります。 また、山頂からどーんと富士山が見えるので、富士山に行く前にテンションを上げる のにも良いかも。 私が行ったときは天候の関係で残念ながら山頂からは富士山が見えませんでした。
同行者を決める
誰と登るのか。 慣れた人に同行してもらうと少し安心です。 ツアーに参加するというのも、ありでしょう。ガイドが付いてくれます。 初心者同士は……楽しいかもしれませんがメリットは小さいですね。 私は誘う人もいないので単独行です。
ルートを決める
富士山の登山ルートは、大きく分けて4つあります。どのルートを登るか、決める 必要があります。以下に、大ざっぱですがそれぞれのルートの特徴をまとめます。 なお、所要時間は個人差が大きいので目安です。
- 吉田ルート
-
- 登り:6時間10分、下り:3時間30分
- 出発点の高度が比較的高い
- 山小屋が多く安心
- 登山道途中からでもご来光が見える
- 六合目から上は登山道と下山道が分かれているので混雑に強い…のだけれど、 とにかく人が多い
- 富士宮ルート
-
- 登り:5時間30分、下り:3時間50分
- 出発点の高度が最も高く、山頂までの距離が短い
- 傾斜がやや急
- 山小屋の数はそこそこ多い
- 山頂近くまで行かないとご来光が見えない
- 吉田ルートに比べれば混雑がまし
- 須走ルート
-
- 登り:6時間50分、下り:3時間20分
- 出発点の高度がやや低い
- 山小屋の数はそこそこ多い
- 樹林帯を抜ければ、登山道途中からでもご来光が見える
- 下の方は空いているが、途中の本八合目から上は吉田ルートと合流するので 人が多い
- 一部を除き登山道と下山道が分かれている
- 御殿場ルート
-
- 登り:8時間10分、下り:4時間20分
- 4ルートのうち最も出発点の高度が低く、距離が長い
- 人が少なく、山小屋も少ない
- 登山道途中ほぼどこからでもご来光が見える
- 7合目から下は登山道と下山道が分かれている
- 下山ルートが大砂走りと呼ばれる砂の深い道で、その名の通り走るように下山 できる(ただし脚力に余裕があれば)
- 唯一、登山口までの道路がマイカー規制されない (マイカーで登山口まで行ける)
その他、富士宮ルートからスタートして宝永第一火口経由で御殿場ルートに入る、 通称プリンスルートなどもあります。
ちなみに、ヤマノススメでは初回チャレンジは吉田ルートでした。2回目の チャレンジでは須走ルートで登って御殿場ルートで下り、途中で宝永山に寄るという なかなかハードなプランを採用しています。
どのルートにするかですが、初めての時は出発点の高度が高い吉田ルートか 富士宮ルートのうち、アクセスしやすい方がお勧めになります。
首都圏からなら中央道、中央本線+富士急、新宿からの高速バス等色々あって吉田 ルートがアクセスしやすいので、私は吉田ルートで行くことにしました。
あと富士山の登山道ですが、いずれのルートも終点は火口の縁のところになって います。日本で一番高い場所は標高3776mの剣ヶ峰ですが、ここに辿り着くには、 そこからさらに火口の縁の道を歩く必要があります。 この道は火口の周りをぐるりと一周していて、そこを一回りすることをお鉢巡り といいます。
私はどうせ行くなら標高3776mのところまで行きたい、ということでお鉢巡りも 計画に入れることにしました。
タイムスケジュールを決める
ルートが決まったら次はスケジュールです。 パターンとしては、主に以下の4通りがあります。それぞれ簡単に特徴をまとめます。
- (1)山小屋一泊、山頂でご来光
-
昼に五合目を出発し、夕方に山小屋に到着。 仮眠を取って夜中に出発し、山頂でご来光を見る。
夜中に起きて暗い中を登る必要がある。 山頂でご来光が見られる。 このプランで登る人が多いので、山頂直下で渋滞に巻き込まれる。
- (2)山小屋一泊、ご来光を見てから山頂を目指す
-
昼に五合目を出発し、夕方に山小屋に到着。 翌日、ご来光を小屋の前で見てから出発し、山頂を目指す。
山小屋での睡眠時間をたっぷり取れる。 一番楽で体力に不安のある人向き。 山頂直下の渋滞に巻き込まれにくい。
- (3)登山口で前泊、1日で上り下り
-
五合目で宿泊し、翌早朝に出発して夕方までに戻って来る。
宿泊場所が道中の山小屋よりは快適。 暗い時間に行動する必要がない。 1日で全行程歩くので体力が必要。 日没までに下山するなら、お鉢巡りをしている余裕がないかも。
- (4)宿泊なし、夜から登って翌朝下山
-
夜五合目を出発し、夜通し登る。 ご来光を山頂で見てから下山する。
寝不足で体調を崩しやすく、体力も必要。 弾丸登山と呼ばれ、危険なため推奨されない。 宿泊費用はかからない。
吉田ルートの前提で(1)~(4)の各プランのタイムテーブルを書くと、ざっと下表の ような感じです。 山小屋着と山小屋発の時刻は、中間の8合目あたりの山小屋に宿泊した場合の目安です。 宿泊する場所によって前後しますが、そこは後で調整します。
また、お鉢巡りをする場合は吉田口頂上着から吉田口頂上発までの間に1時間半、 そのための時間を取る必要があります。
(1) | (2) | (3) | (4) | |
---|---|---|---|---|
五合目出発 | 12:00 | 12:00 | 4:00 | 20:00 |
山小屋着 | 16:00 | 16:00 | ----- | ----- |
山小屋発 | 0:00 | 5:00 | ----- | ----- |
吉田口頂上着 | 3:30 | 8:30 | 11:30 | 3:30 |
(余裕があればお鉢巡り) | ||||
吉田口頂上発 | 6:00 | 10:00 | 13:00 | 6:00 |
五合目到着 | 10:00 | 14:00 | 17:00 | 10:00 |
参考までに富士山頂の日の出時刻ですが、だいたいこれくらいです。
時期 | 時刻 |
---|---|
7月中旬 | 4:30 |
8月上旬 | 4:45 |
8月下旬 | 5:00 |
山頂でご来光を見たい場合、これくらいの時刻に山頂にたどり着けるように時間 を調整する必要があります。
ただ、週末ともなると、ご来光を山頂で見る場合、日の出直前の山頂直下で渋滞に 巻き込まれ、最大で通常のコースタイムの2倍かかることもあると言われています。 また、山頂(剣ヶ峰)の写真撮影順番待ちでも、混雑状況によっては1時間くらい ロスします。
前述のタイムテーブルでも多少余裕は見ていますが、特に混雑する日に行く場合 は、さらに時間がかかる可能性もあります。いざとなればお鉢巡りをあきらめる、 帰りのバスや電車を遅らせるなど、対応を考えておく必要があります。
これらの情報を参考に、自分の計画を決めていきます。
まず、宿泊なしで登る自信はとてもないので、山小屋で一泊することは決定です。 あとはご来光をどこで見るか。人混みが嫌いな私としては、山頂直下の渋滞に はまったり、人波にもまれたりするのは避けたいところです。とは言え、日の出 まで山小屋に滞在するのもちょっと長すぎる気がします。 そこで、日の出の少し前に出発して、途中で適当にご来光を眺めることにしました。
タイムテーブルは以下のようになります。
時刻 | |
---|---|
五合目出発 | 12:00 |
山小屋着 | 16:00 |
山小屋発 | 4:00 |
(途中どこかでご来光) | |
吉田口頂上着 | 8:00 |
(お鉢巡り) | |
吉田口頂上発 | 9:30 |
五合目到着 | 13:30 |
とりあえずはこのタイムスケジュールを前提に、計画を立てていきます。
現地までの交通機関を決める
次は現地までの移動手段です。いくつか選択肢がありますが、それぞれの特徴を 以下にまとめます。
なお、御殿場ルートだけは五合目の登山口までマイカーで行けますが、その他の ルートは夏の開山期間中ずっとマイカー規制のため、五合目までマイカーで行く ことができません。ふもとに駐車場があり、そこからシャトルバスが出ていますので、 それを利用することになります。
- マイカー
-
- 高速道路を使うと費用が高くつく
- 時間が読めないが、行動は自由
- 歩く必要はないが、運転は自分でする必要がある
- 登山中、不要な荷物を車に置いておける
- 高速バス
-
- 費用が安い
- やや時間が読めない
- 高速バス乗り場までは電車での移動になる
- 自分で運転しなくていい
- 事前に予約が必要
- 電車
-
- 特急や新幹線を利用する場合、やや高い
- 時間が読める
- 乗換や駅までの移動が大変
- 自分で運転しなくていい
今回は、まずマイカーを選択肢から外しました。 慣れない山小屋泊で寝不足になった上に長時間歩いた後で帰りに車を運転する のは危険と判断したためです。
あとはコストを重視して高速バスを選択……といきたかったのですが、直前で高速バス のチケットが取れなかったため、結局電車で行くことになりました。
帰りは高速バスに空席があれば高速バスで、なければ電車で帰ることにします。
高山病について
富士山の山頂では、気圧が650hpaくらいしかありません。平地の2/3くらいです。 低気圧や台風なんて目じゃないです。 これくらい気圧が低いと、普通は酸素不足のため体に色々な変調が生じてきます。 そういった症状の総称が高山病です。おもな症状は以下の通りです。
- 頭痛
- 吐き気
- 倦怠感
- めまい
- 睡眠障害
この高山病、多くの人には多少なりとも症状が出るものですが、酷くなると稀に 肺水腫や脳浮腫といった症状を引き起こし、最悪死に至りますので、軽視することは できません。
高山病の特効薬は標高を下げる事なので、症状が出たら酷くなる前に撤退、つまり 下山を決断しなければなりません。
高山病を確実に防ぐのは難しいのですが、人間には環境適応能力があるので、 対策次第でリスクを下げることが可能です。
以下に予防策を列挙します。
- 前日睡眠をしっかり取り、疲れを残さない
- 基本です。疲れていると症状が出やすくなります。
- アルコールを控える
- お酒は下山後の楽しみに取っておきます。
- 水分をしっかり摂る
- 少しずつこまめに、喉が渇く前に補給します。
- 深く呼吸する(特に、息をしっかり吐く)
- 腹式呼吸でしっかり息を吐き出して、新鮮な空気を取り入れます。
- ゆっくり登る
- 意識的にゆっくり登ります。 五合目で登山前に1時間くらい滞在して体を慣らすことも推奨されています。
要は脳の酸素不足が主原因なので、血中に酸素をたくさん取り込んでそれを脳に たくさん届けてやれば良い感じですね。あとは体調を整えることと。
で、五合目に1時間くらい滞在というのがあるので、タイムスケジュールに照らし 合わせると、11:00までに五合目に着く必要があるということになります。
日程を決める
具体的にいつ登るのか、日程を決めます。
毎年混雑予想が発表されますので、できれば人が少ない時を狙いたいところです。 混雑予想によると、一番混雑するのはやはりお盆の時期。ほか、夏休み期間中の 週末はいつも混んでいるようです。 また、7月中旬までは空いていますが、まだ梅雨の時期なので雨の確率が高く なります。
となると、ねらい目は7月後半以降の平日。最初は7月後半を考えていたのですが、 今年は梅雨明けが遅くなかなか天気が良くなりません。 山小屋の空きも少なくなり、選択肢が減ってきていたので、8月後半に計画を変更 しました。
山小屋を予約する
日程を決めたら山小屋を予約します。 予想外に予約が埋まるのが早いので、早めに動いた方が良いのですが、一旦満室に なっても後から空きが出る場合もあるようです。
また山小屋ですが、普通に街中や観光地で宿に泊まるのと同じように考えてはいけ ません。高山の斜面にある関係上、以下のような制約があります。
- 土地が狭い
- 水や食料はふもとから運び上げるので貴重
- 電気は自家発電
結果として、以下のような事態になります。
- 広いフロアに布団や寝袋を並べて雑魚寝
- 布団1枚のスぺースに2人くらい寝る
- 宿泊予約者以外は基本入れてもらえない(休憩も不可)
- 風呂はもちろん、シャワーなんてない
- 食事のボリュームには期待できない(だいたいカレーです)
- スマートフォンの充電もできない場合がある
そこそこいい値段するんですけど、要は何も期待せず泊めてくれるだけありがたいと 思っておけばそんなに落胆することもないでしょう。
ちなみに、トイレについては宿泊中は無料のところ、安くなるだけのところ、定額 で使い放題など、山小屋によってシステムが異なるようです。
吉田ルート沿いには、五合目から八合五勺までの間に20件近い山小屋があります。 Webで検索すると色々出てきますが、私は以下のサイトの一覧を見ながら検討 しました。
山小屋は登山道沿いに点在しているので、泊まる場所によって標高、頂上までの 所要時間が異なってきます。
標高が低い方がやや高山病のリスクが低いと思いますが、頂上は遠くなるので 2日目の行程が長くなります。一長一短あるので好きな方を選べばよいかと。
数ある中から私が最終候補に挙げたのは以下の3か所です。
- 太子館
- ヤマノススメであおいちゃんと楓さんが泊まったところ
- 富士山ホテル
- ヤマノススメでここなちゃん、ひなたちゃんが泊まったところ
- 鎌岩館
- 上記以外でWeb上で評判が良さそうなところ
いずれも寝具が布団ではなく寝袋になっているところです。 一枚の布団に2人の割合で雑魚寝とかよりは快適かなと。
あとはやっぱり聖地巡礼なので、ヤマノススメの作中に登場したところを優先しま した。
で、最終的に富士山ホテルは標高が高いので高山病のリスクがより高いと判断し、 太子館を選びました。
2~5人くらいのグループなら、個室があるところを確保するのも良さそうです。 ただ、数が少ないのでより早めの予約が必要になります。
天気を確認する
天気が悪いと登山の難易度は跳ね上がります。地面は滑りやすいですし、低体温症にも なりやすいですし、視界が悪くて道にも迷いやすくなるためです。加えて、良い景色 も見られません。 よって、特に初心者のうちは天気の良い日に行きたいところ。天気のチェックは欠かせ ません。
私は主に以下のようなサイトを見ました。
- tenki.jp
- 10日先までの6時間ごとの天気予報が発表されています。これは山の上の天気ではなく ふもとの町の天気ですが、行こうとしている山の周囲の天気を見ればだいたいの傾向 が分かります。 また、予想天気図も3日後くらいまであるので、そちらも参考になります。
- てんきとくらす
- 山ごとの天気について、登山に適しているかどうかをA~Cで評価しています。 評価は翌日までが3時間ごと、2日後~1週間後が1日ごとです。 風も雨もなければA評価ですが、風か雨が強い場合はB、Cと評価が下がっていく ようです。 晴れ、雨などの天気も表示されますが、こちらはふもとの町の天気なので参考程度 です。
ほか、私は利用してませんが評価が高いのがヤマテン。 有料ですが山専門の天気予報サイトです。予報が提供されてるエリアには限りがある ようですが、本格的に登山を始めるつもりなら一考の余地ありです。
さらに、高層天気図や風の予想等を組み合わせて独自に天気を予測する人もいるよう ですが、結局3日以上先の天気を当てるのは難しいので、そこまではほとんど見て ません。 私はだいたい以下のような基準にしました。
- 行動予定時間中の富士山頂のてんきとくらすの評価がA、悪くてもB
- 行動予定時間中の山の両側ふもと(富士山の場合、富士吉田と富士宮)の 降水確率が50%以下
が、ここらへんは各人のキャンセルの難易度に応じて調整が必要だと思います。 休みを取りやすい職場で単独行なら日程変更も簡単ですが、やっと取った休みで ツアーに申し込んだ場合はよっぽどの悪天候でない限りキャンセルできないでしょう。
私の場合ですが、一週間前の予報等では晴天になっていたのに直前で雨の予報になる というのを繰り返し、結局2回延期して9月にずれ込んでしまいました。 そのたびに山小屋に日程変更の連絡を入れたので面倒でしたが、幸い山小屋にも空き があり、天気の良い日に登れたのでよしとします。
前日
食料品、飲み物を購入し、荷造りをしたら早めに休みます。
ちなみに荷物の重さを量ったらザック込みで6キロちょっとありました。 標準がどれくらいか分かりませんが、試しに背負ってみたらいけそうな感じでした ので、まあいいでしょう。